ベートーベン第九・歓びの唄を大阪弁にしてみる IROM サイトマップ サイトの説明

大阪弁をさらに詳しく分析してみよう


はい、大阪弁をある程度「第九の大阪弁解説」で説明しましたがもう少し突っ込んで勉強してみることにしましょう。

(大阪弁の一例)
おまえあほとちゃうん。いんでへえこいてねとけ。


実際、こう言われて
さっそく
家に帰ってオナラをして布団をしいて寝た人
というのはいない・・・・・・。
いないと思う。

単語の解説
  • おまえ=「君」「あなた」の事であるが目下の者、または仲のいい同僚に使う。
  • あほ=阿呆。ただし、関西弁でのアホは「よく失敗したりする人」または「バカげた話や動作をして人を笑わせる人物」に与えられる称号である。
  • ちゃうん=違うのかな?の意味。ひょっとしたらというニュアンスが少しだけ含まれている(後述するがこの含まれ方がとても大切)。
  • いんで=帰って
  • へえ=屁のこと。ただし「へ」ではなく「へえ」と発音しなければならない。
  • こいて=して。オナラの場合は「たれて」を使う場合もある。つまり「へえたれて」である。
  • ねとけ=寝ていなさい
(標準語に直訳)
君は阿呆ですよね。(だから)家に帰ってオナラをしてから寝なさい。


とんでもない言葉(内容)です。
だけど、関西(大阪)ではこんなことは日常の会話であって言葉の暴力なんかではありません。
言葉は表面だけではなく、その裏に隠れた意味合いを伝えています。
上下関係、親しさの加減、歳の違い、その他多岐に渡る怪しげな人間関係など様々な要因によって違う内容が伝わります。 ほとんどの人はこのことを心得ていて発言するわけですが「時と場合」によってとんでもない事柄を伝えることになってしまう場合もあるわけです。

また、逆にほとんど意味の無い場合もあります。
「おまえそれでも、金玉ついとんのか!」と言われてほんとに確かめることはないでしょう。
まあ関西の人なら「え?どうやろ、俺、キンタマついとったんやろか・・」 などとズボンを脱ぎかけたりする。笑いをとるのが好きなようです。それでまた、冷笑されるのがもっと好きだったりするわけです。
さて、どうでしょう。 「おまえあほとちゃうん。いんでへえこいてねとけ」は、ひとつのフレーズとして定着している言葉であって、 使われている単語そのものにはあまり重要な意味合いは含まれていないのですね、実は。

でも、約束ごとはあります。
こんな言葉を年上の人や目上の人に言ってはいけません。いくら関西でもこれは礼儀知らずになります。
また、いくら年下であっても、ゆっくり噛みしめるように言ってはいけません。少し早口にしゃべらなくてはなりません。 でなければ、言われた本人はホントに家に帰るかひどい場合には川に飛び込みます。

さて、言葉の奥底には「過去の体験」や「タイミング」など得体の知れない人間模様が隠れています。
あほや
あほやろ
あほか
あほとちゃうん
あほとちゃうやろ
これらの微妙なニュアンスをあなたは使いこなせるでしょうか?
「あほとちゃうん」の「ちゃうん」は「違うのですか?」という意味ですが、発言者が相手の”あほさ”を何パーセンと ほど把握しているのかが言葉のやりとりの駆け引きに必要になってくる場合もあります。本当にどうしようもなく やる気のない気の抜けたバカ男に「あほとちゃうん」と言う場合はほとんど把握した状態でそれを発言することになります。
賢くて頭の切れる奴に「あほとちゃうん」という場合は「恐れ入りました」と尊敬の意味になったりするのですから。

整理すると
目下の人に対して、
愛着と嫌悪感の比率を曖昧にしながら、
吐き捨てるように少し早口で、
おまえあほとちゃうん。いんでへえこいてねとけ。
と、発言した場合に限り下記の通りになります

(標準的な言葉に訳)
ばかなことやってないで、しっかりしなさい。

大阪弁の勉強に役立つ (?) 短編小説
[ベートーベンに戻る]
IROMBOOK