ゲフ 革胡 gehu

ゲフは、中国の弓奏楽器。 中国伝統の 胡琴の仲間 と 西洋のチェロ を合体させたとても個性的な楽器である。

共鳴ボディは二胡などのボディを巨大にしたものだけど、横向きであって左右対称になっていない大胆なデザイン。これは 横置きエンジンの小型車ミニを設計した天才イシゴニスもビックリするような発想。 普通に縦置きでもよかったのでは思うのだけれども、弦の圧力が大きな面積の皮に直接加わるのに耐えられないからかもしれない。弦の圧力は背の高いブリッジに垂直に向かって加わるものね。
横置きにした本当の理由は不明にしても、この設計だと増幅するための皮に弦の振動が伝わらないではないかと ‥‥ 、いやいや心配ご無用。ボディの中には「耳の小骨」みたいな構造で振動が皮に届くよう骨組みが配置されている。

業務用の掃除機を思わせるような個性的な形状だが、ネックと弦はチェロのスタイルを取り入れている。弦は4本でチェロと同じ音程の5度チューニングになっている。演奏方法もチェロと同じ。

「ゲフ」という名前は無理やりカタカナにしたのであって、中国語の「Ge」というのは日本語には無い発音なので「ゲ」としている。それにしても日本人には、なんというか　美しくない名前ですな。革胡を「かくこ」と日本語読みすることもあるようだけど、馴染みがない。新しく作られた創作楽器とも言うべき楽器なので、広く世間では知られていないよう。

ディーイン・ゲフ 低音革胡 diyingehu

革胡がチェロにならった楽器であるのに対し、低音革胡はコントラバスにならっている。 4本の弦もチューニングも演奏のしかたもコントラバスと同じ。