アプリケーションソフトに依存しない画像フォーマットを目的として Aldus社とMicrosoft社によって開発された画像データのフォーマット。
拡張子は
tifまたは
tiffですが
tifを使うことが多い。
複雑怪奇なフォーマット
解像度・色数・符号化方式など、いろんな形式を一つのファイルにまとめて格納できるようにしているため、
とても複雑怪奇な画像フォーマットになっています。
複雑といってもその複雑さを自動的にアプリケーションが処理してくれるので
私たちの目には普通に閲覧できるようになってます。ややこしいことは気にせずに使うことができるので安心してください。
TIFFは高詳細でも比較的フィルサイズが小さくできるのでデジタルカメラで劣化のない画像として写す場合に使われているのはご存知の方も多いと思います。
でも、TIFFで保存しておかなければならない場面は通常あまりないように思えますが、どうなのでしょう。
図面の保存には
突然ですが、私は精密機器製造メーカーに勤めております。
製造部門での10年を経て、電子部品・電気部品を調達する仕事を20年ほどやってきました。
現在は会社でのと図面管理や配布を電子化するためはどうすればよいかいろいろ教えてもらっている最中です。
図面や技術資料を管理することをプロダクト データ マネジメント(PDM)といいます。そして、そのシステムそのものをPDMと呼んだりします。
小難しい薀蓄はともかく、PDMシステムで扱うフォーマットはほとんどが次のようになっていることを知りました。
- CAD図面はCADのフォーマットで設計者が追加編集できるファイルとして保管管理する
- 部品(製品)製作のために工場へ電子配信する(出図といいます)場合はをラスター形式を使う
6社ほどのシステム会社の話をきいたのですが、これが一番多い方式のようです。
電子配布してペーパーレスで運営できればいいのですが、残念ながら図面は紙に印刷することを前提に
しておかなければなりません。そして紙に印刷したときには小さな文字もしっかりと読み取れる解像度で保存しておかなければならないのです。
紙に印刷する場合は小さくてもA4、大きければA1やA0もあるわけですから画像フォーマットを正しく選択しなければシステムがパンクしてしまいます。
ラスター形式・・・TIFFの出番
数あるラスター形式の中で図面を画像ファイルとして保管する場合、現時点においてはTIFF形式が一番優れているようです。
TIFFは色んな方式に対応できるので、図面のように白と黒だけでできている画像はTIFFの複雑怪奇な手法によって画像データのサイズを極小におさえることができるわけです。
問題なのは「現時点において」という怪しげな表現。
あまりにもIT系業界は変動が激しく、新しい方式が出ては古い方式が消えて行きます。
このサイクルがとても短いのです。MOやCDの規格はいつまで持続するでしょう。
私の部屋には、私の作品やデータがはいっている5インチのフロッピーディスクやオープンリール音楽テープが再生機器がないまま眠っており、
永久に再生することがないかもしれないのだけれども捨てることができずにいます。
若いころに買ったアナログLPレコードも50枚ほどあります。
まあこれは、いまでもぐるぐるターンテーブルの機械が販売されていたりするので、再生することは可能ですが。
そういえば、音楽用のカセットテープを思い出して下さい記録媒体では群を抜いて長寿命です。
ところが長寿命であってもほんの数十年。もうそろそろこの世から消え去ろうとしているのではないでしょうか。
技術革新には拍手を送るのですが、長期間保存が必須の分野においていてれはほんとに困ったものです。
産業機器用の図面は何十年も使うものですから、デジタル化したのはいいけれど、
時代が変わって機器がなくなり読み出せないなんてことになったら企業の存続に関わるわけです。
TIFF形式は数十年後も健在か。
おそらく多くの人は健在と答えるでしょう。私もそう信じています。
産業分野でのフォーマット
企業内でドキュメントを静止画としてデジタルで保存するフォーマットは下記の2つが挙げられます。
- 図面はTIFF
- 仕様書・説明書などの文書はPDFまたはTIFF
この形に落ち着いているようです。そして、おそらく、この二つが将来も継続して使えるフォーマットであると信じるようにしましょう。
TIFF図面の仕様
製造業を営んでいる企業は図面の管理に困っているはずです。
何万枚・・・いや大企業であれば何百万枚もの図面を専用の棚に保管しているわけで、どこにどの図面があるのやら分けがわからない状態。
置き場所のスペースさえなくなってしまう。
電子化が急がれるわけです。紙の図面をtiffにするといってもtiffは最初に書いたように複雑怪奇なフォーマットです。
いろんなフォーマットが指定できますがファックスと同じ規格であるG4が推奨されます。
- 解像度は300〜400dpi(1インチあたり300〜400個の点)であれば十分。
- 色数は2値。つまり、白と黒だけ。2Dの図面であれば一般的に多色は必要ない。
紙の図面をスキャンして電子化するサービスをしている会社はたくさんあります。お任せすればまず間違いなく以上の仕様でtiffにしてくれます。
どでかい図書館ほどもある図面庫の図面はもハードディスク一個に入ってしまうのではないでしょうか。
マイクロソフトのOfficeのプリンタドライバ
文書の電子化といえば、マイクロソフトのOffice製品についているプリンタドライバ(Microsoft Office Document image Writer)があります。
印刷と同じ要領で出力すると紙に印刷されるのではなく「イメージファイルとして保存」されるのです。
プリンタドライバなので印刷ができるアプリケーションソフトであればこれを利用してイメージファイルとしてtiffにすることができます。
拡張子はmdiもしくはtifですが、私の経験ではmdiの場合でも拡張子をtifに変換しても変わらず利用することができました。
参考:ペイント(ラスター) と ドロー(ベクター)