電子図面管理
図面を電子化
図面をTIFFに


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図面を保管する場所がない

企業にとって、2007年問題は二つある。
一つは、1947年前後に生まれた団塊の世代が一斉に定年退職を始める。 労働人口が急激に変化し、知識・ノウハウの保有者がいなくなる。また退職金問題など。 2007年問題とは普通、このことをいう。

もう一つ。それは図面保管だ。
図面を管理するのには限界がきている。それは特別な企業だけではない。 日本中がお手上げ状態になっている。産業機器を生産している製造業は特に大きな問題になる。受注生産なら なおさらだ。20年どころか30年、いやそれ以上メンテナンスを続けなければならない。
鉛筆書きの時代の図面。青焼きとか呼ばれていた 真っ青な地に白い線と文字で書かれた図面までもが活きて管理対象になっている。
 「紙図面を出したり戻したりで端っこが破れてボロボロだ」
 「だれだ!紙図面を違う棚に戻したのは」
 「この図面どこにある?・・・ああもう分からない」
 「もう紙の図面を保管する場所がないですよ」
・・・対策を立てないと2007年ごろから、しだいに管理不能になってしまう。

2010年になってもこの状況はさほど変わっていない。ノウハウの保有者はすこぶる元気で嘱託などで会社にまだまだ貢献してくれている。 2007年問題は数年間は後ろにずれたという格好になっているようだ。

製造業に勤める者であれば TIFF、PDF、PDM(PLM)、ERPの3文字アルファベットを耳にするし、実際その作業に従事しておられる方のいらっしゃるだろう。
図面電子化のサービス業・図面管理製品管理(PDM)のソリュージョンを提供している企業・プリンタメーカー。 これらの企業は図面の電子化を謳いつつ、この3文字アルファベットを巧妙に(?)使い、専門的な情報を提供して、 かつ、親切な指導をしてくれる。とてもすばらしい思想と行動力でIT化を進めてくれるはずである。

電子図面というと「電子回路を記した図面という意味を持つ場合」と「デジタルファイル化した図面という意味を持つ場合」がある。 混乱が起きるないとは思うが念のため、このページ「電子図面」という場合は「デジタル化した図面」という意味の「電子図面である」

なお、筆者は”製造業に勤める者”である。以上に列記した図面管理のシステム屋ではない。 図面を使う企業そのものであり、実際に図面保管についての問題を実を持って実感している一人である。 宣伝文句も誇張アピールも無い生の声というわけだ。
図面をどう管理するかは、専門化の文献を参照していただくこととして、ここでは主に図面の電子フォーマットと電子化について書くことにしたい。 全体を総まとめにするような文才はないので、思いついた項目ごとに書き綴る。


図面をTIFFで保管・管理

図面の電子化はPDFかTIFFか

結論を書くと図面はTIFFである。事務文書はPDF化が進んでいるが、図面はTIFFがよい。
CADから直接変換する場合、紙図面からスキャンして変換する場合。いずれの場合のTIFFフォーマットでの保管・管理が望まれる。 (TIFFファイルの拡張子は *.tif または *.tiff
| PDF | TIFF (TIF) |

なぜTIFFなのか

図面の電子化はなぜTIFFか。それは「みんながTIFFだから」である。
この表現をバカにしてはいけない。 どの企業も・・つまり、プリンタメーカーも、管理ソフトメーカーも、TIFFを優先的に扱っている。 当然ユーザーである図面そのものの管理者でる製造メーカーもTIFF図面を使うことになる。 いくら、高品質な画像フォーマットが現れても多勢は勝つ。
PDFでも保管管理は可能であり性能だけをとらまえればどちらでもよい。ただ多勢を優先したほうがいいだろう。


TIFFのフォーマットの汎用性

CAD図はCADを閲覧できるソフトが必要である。 TIFFももちろん閲覧するソフトが必要ではあるが、そのソフトはその辺にいくらでもころがっている。 Windowsにあらかじめ実装されているソフトでも閲覧印刷できるし、性能がきにいらなければWebで探せばあれこれ各種が無償で手に入る。


CAD図は編集用 TIFFは保管・閲覧・印刷用

CADで描いた図面は大雑把な表現であるが点と線を記憶している(ベクトル系画像)。対しTIFFは点で記憶している(ラスタ系画像)。
CAD図はCADを閲覧できる固有の専用ソフトが必要である。 お客様や外注委託先でCAD図を開けるかどうかわからない、何百社という取引先が同様に閲覧可能というのは考えにくい。 もし、ファイルを開くことができるのであれば他社の者が痕跡を残さず編集してしまうことも可能である。 セキュリティ上の契約をしっかり結んでいる取引先でなければCAD図を渡すわけにはいかない。

やはりTIFFである。
TIFFももちろん閲覧するソフトが必要ではあるが、そのソフトはその辺にいくらでもころがっている。 Windowsにあらかじめ実装されているソフトでも閲覧印刷できるし、性能が気にいらなければWebで探せばあれこれ各種が無償で手に入る。 CAD図は編集用。TIFFは保管・閲覧・印刷用とすべきである。

紙図面をTIFFにするには

紙図面をスキャンして電子ファイルにしてくれるサービス業者はたくさんある。
サービス業者はたくさんあるが、発注はキヤノンや富士ゼロックスなどの大手メーカーに通して注文するほうがいい。
大手メーカーは自社でTIFF化をしているのではない。たいがいは数人〜数十人レベルの電子化専門の会社に委託している。 小さな電子化専門の会社を信用していないわけではないが、もしものことがあればメジャーなメーカーのほうが対応は確実だろう。 発注はもちろん秘密保持契約も大手メーカーと商談を整えるようにしたい。
サービス業者の作業場を知っておく
必ずその現場を訪れることを強調しておきたい。 TIFF変換サービス業者では紙図面をスキャンしてTIFFにする、マイクロフィルムをTIFFに変換するなど、 マル秘文書がその業者には山ほど持ち込まれているのである。 営利企業はもちろん、役所関連、学校の文書など。本来、部外者には閲覧させない文書だ。
それが、いったん業者のハードディスクに保管される。 企業のノウハウや英知・重要情報が他社のハードディスクにたまるのだ。 どんな人物がどんな機械を使ってでどんな作業をしているかを見ておくのがいい。

ファイル名

おそらく、図面番号をそのままファイル名として保存する方法になるだろう。重複しないはずだし、検索するにも互換性があるので都合がよい。
ただし、”図面番号 = ファイル名”という構図は歴史のある企業ほど難問である。
8桁で図面を取っていた。10桁の時代もあった。鉛筆書きだったの時代の図番、CADを導入してからの図番。 また、設計グループによっての図番の取り方とが違う。訂正図の表現方法が違う、などなど。ルールがそれぞれ違う。千差万別。
紙図面を電子化するだけにとどめるならこれでもよい。

総ての図面をシステムで管理し、部品構成(BOM)として製品管理することによってTIFF化のメリットが発揮される。 システムが判断するKeyとなるコードは同系列で統一されている必要がある。ファイル名をそのままKeyとなるコードに使えるか。

プロパティ

難儀ではあるが実現したいのは、図面表題欄の項目をデータベースのプロパティとして保持したいということ。
部品名称や材質など手作業でキーボード入力をしていたのでは膨大な時間がかかる。 スキャンすればTIFF図面とプロパティの取得ができないものか、と誰もが考えるところである。

電子ファイルでの配布

お客様や加工外注委託先に図面を配布する場合は電子ファイルで送るのも一つの方法ではるが、 実際に工場で加工するための図面はやはり紙印刷されていないと作業効率が落ちてしまう。
携帯性・閲覧性では紙図面より優れる媒体はない。
ただし、これは2008年現時点でのことあり、工場のインフラ、ハード/ソフトの進化によって、 かつ、人間そもののオペレーションの取得によって、どう変わっていくのかは定かでない。

大判プリンタのメーカー

産業機器メーカーであれば、大判の図面を印刷しA4サイズに折りたたんで配布する必要がある。 かつ、大量に高速で印刷する必要があることを想定すならば、 そして印刷とスキャニングの性能を重視するならこのメーカーである。
  • 富士ゼロックス

  • 富士ゼロックスは高級機では日本において70%以上のシェアを持つ。性能は優秀でありメンテナンス体制も万全である。
    大量の図面を高速印刷して、A4サイズに折りたたんでくれる機能に関しては世界最高のレベルだろう。
    (ちなみに、ゼロックスの名を表に出しており、ロゴも「X」のマークを使っているが富士フイルムの資本のほうが大きい)
  • オセ

  • オセ(Oce)はオランダのメーカー。世界のシェアは欧米を中心としてトップの座にある。おそらく世界シェア50%以上は確保しているのではと思われる。 ただし、日本では富士ゼロックスが極端に強いため10%以下ではないだろうか。そのためメンテナンス体制が整えにくい。
    都市圏ならまだしも地方にある工場では突然の故障に対応しにくいのが弱点。
    性能は優秀である。大型高性能プリンタとしては世界一の企業といっていい。
「定価」はともかく、「実際の価格」が気になるところであるが、行きつところは「同等である」ということだけを付け加えておくことにしよう。

以上は高級機であり、高級であれば何事もうまくいくわけではない。経費が高くて使用頻度が低ければ役立たずになる。 費用対効果は十分に検討していただかねばならない。

紙図面を大量に印刷して
大量に配布する必要があるなら

当然、リコー、キャノン、などOA機器メーカーも大判プリンタを製造販売している。
それぞれ個性があって、図面の印刷頻度・枚数などによって選択するわけだが、紙図面を大量に印刷して大量に配布する必要が ある場合は富士ゼロックスかオセである。 富士ゼロックス製ならブレインテックが有名。

はたして今後も高機能な大判プリンタが必要か

TIFF図面を支持された通りに高速で印刷し、A4に折りたたんでくれる高性能なプリンタはコスト削減に大きく貢献してくれる。
一方で、TIFF図面なら、どこからでもネットワークを通じて各自のPCから閲覧・印刷できるではないか、という意見も当然ある。 集中して印刷するか、分散して印刷するか。分散印刷するなら高級機は必要ない。
どうすればいいのだろう。 集中印刷するメリットと各部署分散印刷するメリットのどちらも取り入れる仕組みを作ればよいわけだが、これでは答えになっていない。
紙削減自体はコストダウンに大きく貢献するわけではない。 それに関わる人件費、森林破壊・紙ゴミの削減など環境問題への積極的な取り組みなど、用紙を削減する意義は大きい。
すぐさま正しい答えを出すのは難しいが、企業として真剣に取り組んでいく必要はある。


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