経済産業省の「文書の電磁的保存等に関する検討委員会」がまとめた報告書(2004年)では、
文書の電磁的保存に関する4つの要件として電子文書に関する特性が整理されている。
- 見読性
必要に応じ電子化文書に記録された事項(画像読取装置により読み取ることにより作成された場合には、必要な程度で画像読取装置により読み取られた書面の内容)を出力することにより、直ちに整然とした形式及び明瞭な状態で使用に係る電子計算機その他の機器に表示及び書面を作成できること。
電子化した文書は、パソコンやディスプレイなどの装置がなければ見ることができません。
そこで企業は、例えば税務調査の際などに、必要とする文書をすぐに目に見えるような明瞭な状態でディスプレイやプリンタに出力し、確認できるようにしておかなければなりません。これが見読性の確保です。具体的な要件となるのは、例えばイメージスキャナの階調や解像度の設定など。経済産業省では、カラーで読み取る際には256 階調で150dpi 以上といった目安を提示しています。
- 完全性
- 完全性の要件T
電子化文書に記録された事項が保存義務期間中に滅失し、又はき損することを防止する措置を講じていること。
- 完全性の要件U
電子化文書に記録された事項について、保存義務期間の間において当該記録事項の改変又は当該電子ファイルの消去の有無又はその内容を確認することができる措置を講じていること。
- 完全性の要件V
電子化文書に記録された事項について、保存義務期間の間において当該記録事項の改変又は当該電子ファイルの消去を抑止する措置を講じていること。
電子化文書は、痕跡を残さずに改ざんできる、コピーを容易に作成できる、ファイルの日付を書き換えることができるといった、紙文書にはない特性を備えています。したがって企業は、電子化文書が事故や操作ミスによって滅失してしまうことを防止し、改ざんや消去があった事実を確認できるようにしておかなければなりません。これが完全性の確保です。
- 機密性
電子化文書に記録された事項へのアクセスを許されない者からのアクセスを抑止する措置を講じていること。
電子化文書の完全性を確保するためには、許可した人以外はアクセスできないといった管理が必要になります。そこで求められるのが機密性の確保です。
完全性と機密性を確保し、適切で安全な文書管理を実現する上では、「いつ、誰が、どの電子化文書にアクセスしたか」ということを確実に把握していることが重要になります。
- 検索性
電子化文書に記録された事項について必要な程度で検索をすることのできるよう、事項を体系的に構成する措置を講ずること。
電子化文書は、必要に応じてすぐに確認できるように管理しなければ、活用することができません。そこで求められるのが、文書をインデックスで検索し表示するシステムなどを整備しておくという検索性という要件です。企業はファイル名だけではなく、業務形態に応じて、例えば契約日時といったインデックスで検索できるように情報システムを整備しておく必要があります。
以上、
経済産業省「文書の電子化の促進・文書の電磁的保存に関する4つの要件」より引用。